チェルノブイリ原発事故という忌まわしい過去をもつウクライナで、原子力発電所で働く幹部職員の学歴詐称が問題となっている。 原子力に関する専門教育を受けたことを示す大学の卒業証書や専門機関の修了証書を、金銭で不正に入手したり偽造したりして、原発に潜り込む例が後を絶たない。経済状態が不安定なウクライナにあって、原発職員は比較的高給が保証されているからだ。 ウクライナ西部のロブノ原発では、十人以上の「技師」が、オデッサ技術工業大で原子力工学を専攻したとの卒業証書を、五百―六百ドルで購入していたことが明るみに出た。彼らは原子炉の運転を監督する地位にあり、ウクライナ検察は刑事事件として捜査を開始した。ロブノ原発では最近、原子炉の緊急停止などが頻発しており、これら「技師」の存在との関係も指摘されている。 同原発には三基の原子炉があるものの、ウクライナはチェルノブイリ原発の閉鎖にともなう電力不足を補うため、四号炉の建設を計画、日本など先進七カ国に資金の援助を求めている。必要なのはむしろ人的援助だろうが、原発運用のいい加減さで名高い最近の日本には難しいかもしれない。

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