山形県高畠町立和田小学校
2002年11月号
食の安全性がこれほど問われる時代はない。新鮮で安全な野菜を子どもたちに食べさせたいと、給食用の食材を届け続けたお母さんたちの三十八年の歩み。 今年四月、全国で初めて栄養士出身の教頭が誕生した。高知県南国市立大篠小学校の甲藤温子教頭だ。学校栄養職員として、給食改革と食教育に取り組んできた実績が認められての登用だった。「子どもの偏食や、一人で食事をする個食など、食生活や食文化の乱れが指摘され、食の問題が無視できないものとなってきました。南国市ではこの五、六年、学校給食を中心に、食を体系的に学ぼうと『食教育』に取り組んできた。その一環の人事です」と、同市学校教育課長の西尾洋之さんは説明する。 このように食の安全に対する意識が高まるなか、全国で様々な取り組みが行なわれ始めているが、山形県高畠町の町立和田小学校(児童数二百六人)では、子どもたちに新鮮で安全な野菜を食べさせようと、地元のお母さんたち(今では、おばあちゃん)が無農薬で作った野菜を毎朝学校に届ける「自給組合」活動が、三十八年も前から続いている。 朝八時十五分、「さだこちゃ」の名で親しまれる斉藤さださん(七一)が、バイクの荷台に小松菜を積んで学校の調理室にやってきた。続いて届けられたのは、キャベツ、そしてネギ。泥つきのネギは、市販のものより皮を剥く手間が余計にかかるが、瑞々しく、おいしそうだ。ゴボウ担当のおばあちゃんは忘れてしまったのか、九時までに届かず、市販のものに切り替えられた。
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