日本の通信機器業界に激震が走っている。中国を代表する通信機器メーカー、華為技術が主力製品のルーター(ネットワーク中継装置)で日本市場に進出することを決めたからだ。 華為は広東省に本拠を置く私営企業で設立から十数年の新興企業だが、今では年間販売額が約三千億円に達する大手に急成長。ルーターでは低価格の中下位機種を得意としており、上級機種で圧倒的な力を持つシスコ・システムズと棲み分けをしている。 対する日本のNEC、富士通などはインターネットのあおりで局用交換機の需要が急減したことから、この一、二年ルーターへの生産シフトを強化している。そのルーターで日本勢より一〇―二〇%は価格が安く、研究開発能力も高い華為が日本市場に進出すれば、「日本製ルーターは駆逐されかねない」(通信機器メーカー)。 中国のメーカーでは洗濯機、冷蔵庫などが日本でも販売されている海爾集団(ハイアール)が有名だが、「華為の競争力は海爾などの比ではない」と関係者は指摘する。華為の進出が、過去十年間進まなかった日本の通信機器業界の再編の引き金になる可能性もある。

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