ロシアのプーチン大統領の対日政策に大きな影響を及ぼしている陰のブレーンの存在が取りざたされている。一九九〇年代に東京のロシア大使館で、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後身である対外情報局(SVR)の対日情報収集チームの現地責任者だったオレク・ロザノフ氏がその人だ。 ロザノフ氏は日本語に堪能で、日本の政治、経済に関する豊かな知識と鋭い分析力を武器に、日本で活動する諜報員の司令塔として高く評価された。公の場には出なかったが、表の顔である駐日大使に対し、「裏の大使」と位置付けられるほどの地位にあった。帰国後のロザノフ氏の処遇は不明だ。しかし、同じKGB出身のプーチン大統領の厚い信頼を獲得しているため、対日政策はロシア外務省が立案するものを基礎にするものの大統領が同氏に助言を求めるケースが増えているという。 イワノフ国防相をはじめ、大統領のKGB出身者重用は周知の事実。来年一月の小泉首相訪露を前に、対日外交でもKGBシフトが強まる可能性がある。

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