「北の崩壊」に立ち会う韓国大統領は誰か

執筆者:黒田勝弘2002年12月号

韓国大統領の任期は五年。その間に、北朝鮮には大変化が訪れるかもしれない。危機管理能力の高い人物が選ばれるかどうかは、日本にとっても重要問題だ。[ソウル発]韓国の大統領選(十二月十九日投票)が盛り上がりを欠いている。いや、韓国のマスコミ報道で見る限りはにぎやかだ。だから緊張感を欠いているといったほうが正確かもしれない。 北朝鮮の存在を考えると、韓国の次期政権がどんな政権になるのかは極めて重要である。次の大統領が担う今後五年間は、北朝鮮の命運を左右する時期になる可能性が強い。なのに、過去の大統領選に比べどういうわけか緊張感がないのだ。 国民もそうだし、われわれ外国人ウオッチャーもそうである。なぜか。答えは簡単である。「金大中氏がいなくなった」からである。 もちろん金大中氏は現在、大統領としては存在する。しかし五年一期の任期終了でもう大統領選には出られない。これで引退することになっている。つまり金大中氏が出ない(あるいは、いない)大統領選だから緊張感がないのだ。 韓国の現代政治史における大統領選は、すべて金大中氏を当選させるのか、当選させないのかをめぐって争われたといっていい。あるいは、何としても金大中氏を当選させようという勢力と、何としても当選させたくないという勢力の戦いとして展開された。

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