経営改革の予行演習をいかに行なうか

執筆者:井口嘉則2002年12月号

 現在が「改革の時代」であることは間違いないが、なかなか進まない。なぜか? 理由の一つに、改革のやり方、方法が分からないということがある。 みな、改革には素人である。既存の仕組みの維持者、既存の仕組みを活用した業績達成者は多いが、こと仕組みをどう変えたらいいかについては、未経験者ばかりだ。日産自動車はV字回復を達成したが、それはカルロス・ゴーン氏という、海外で大企業の改革を成功させ、手法を身につけた人がトップになったから。日本人経営者では変えられなかったのだ。 改革をしなければならないことは分かっていても、怖いから、どうやったらいいか分からないから、躊躇する。先延ばしする。そのうちに、どんどん症状が悪化していく。政治しかり、行政しかり、経済しかり、企業しかり。 では、どうしたらいいか。体験してみるのが一番いいが、いきなりやって失敗する前に、手本を見たりやり方を修得したりして、成功の確率を上げる必要がある。 私は、過去十二年間、経営コンサルタントとして、大企業から中小企業にいたるいろいろな業種の企業の業績回復や、経営課題解決のお手伝いをしてきた。コンサルに入った会社の数は数十社に及ぶ。その経験を生かして、改革の場面ではどのような判断や意思決定が必要なのかを知ってもらおうと、一冊の本にまとめた(『こうして会社は良くなった』かんき出版)。

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