「スハルトの娘」

　インドネシア独立の父、故スカルノ初代大統領の長女で、民主化運動のシンボルだったメガワティ大統領のカリスマ性が、就任1年を経てすっかり薄れてしまった。経済は停滞し、国家予算は国際通貨基金（IMF）の援助プログラム任せ。200人近い死者を出したバリ島爆弾テロ事件で、観光産業にも陰りが出た。　大統領の名は「メガワティ・スカルノプトリ（スカルノの娘）」だが、庶民はスハルトプトリ（スハルトの娘）と皮肉る。スハルト元大統領のような権威主義や傲慢さが目につくからだ。アジアのジョーク大国、インドネシアでは、すぐに小話のネタになってしまう。　シンガポールのリー・クアンユー上級相が言った。「わたしにインドネシアを任せてくれたら、10年でシンガポール並みにしてみせる」　これを聞いたメガワティ大統領が言った。「わたしにシンガポールを任せてくれたら、1年でインドネシア並みにしてみせる」　バリ島爆弾テロ事件後、国家警察が声明を出した。「10億ルピアあれば、われわれは必ず犯人を逮捕する」　これを受けて、メガワティ大統領が声明を出した。「政府はIMFに10億ルピアの緊急融資を申請する」　アジアの観光客を乗せた遊覧船が浸水し、沈み始めた。船長が乗客に呼び掛けた。

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