統合を決めた日商岩井とニチメンに米投資銀行のリーマン・ブラザーズが五百億円を出資する目的をめぐり、自民党商工族や経済産業省幹部が警戒を強めている。 両商社はともにUFJがメーンバンクで、破綻懸念先とみられている企業。統合は金融庁が進める不良債権処理の一環であるのは確かだが、「総合商社自体が持ち株会社のような形態なのに、その上に持ち株会社を置くのはリストラや営業強化の面でまったく意味がない」(大手商社関係者)。 体力不足を補いたいUFJが苦し紛れに、リーマンに対して破格の出資条件を提示した可能性もある。(1)部門切り売りで有利子負債を削減、株価を上げておいて売り逃げする、(2)優良な部門を高く他社に売却し、仲介手数料を得る――などがそれ。 日商岩井はエネルギー、化学、情報通信、ニチメンは繊維、食品、化学などに強く、両社は自らこうした部門を中核にした専門商社群に移行して生き残りを目指すが、リーマンがそうした改革速度に満足しなければ一気に切り売りされる恐れもある。商社業界の大再編劇の第二幕、第三幕が開くのは必至の情勢だ。

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