悪夢のあとの悪夢

執筆者:名越健郎2003年1月号

 11月5日の米中間選挙は、“戦時大統領”のブッシュ氏を前面に出して戦った共和党が圧勝し、同党はホワイトハウスと上下両院を制するという「3冠王」になった。2年前の大統領選で、フロリダ州の集計をめぐる混乱を経て最高裁の判定で辛くも当選したブッシュ大統領にとって、晴れて国民の信任を得る形になった。 一方の民主党は、スター不在、政策不振が深刻で、このままでは2年後の大統領選でも敗北しかねない。 CBSテレビの夜のトークショーのホスト役、デービッド・レターマンは「民主党は種の絶滅の危機に瀕している。クリントン前大統領を種馬に起用すべきだ」とコメントしていた。 中間選挙の夜。開票状況を見ていたレンキスト最高裁長官が、残業していた他の判事に言った。「みんな家に帰ってくれ。今回は出番はなさそうだ」 テレビのキャスターが、フロリダ州知事選の開票状況を伝えた。「現職のジェブ・ブッシュ知事は対立候補に10ポイントの差を付けています。……ただし、フロリダの誤差は1000ポイントです」 民主党敗北を尻目に、2年間雌伏していたアル・ゴア前副大統領がこのところ、夫人との共著『家族の精神』のキャンペーンのため、全米を回り、メディアにも登場。「あの時、フロリダの票が正確に計算されていれば、わたしが大統領だった」と豪語している。

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