北朝鮮を出港した不審船が昨年十二月上旬、イエメン沖でスペイン海軍と米軍による臨検を受け、積み荷からスカッドミサイル十五基とミサイル燃料などが発見された。この不審船の出港についての情報を、日本政府が十一月中旬に米国の軍事衛星から得ていたことが明らかになった。 日本政府は公式には臨検による拿捕直前に米側から通報されたとしているが、実際には三週間前にキャッチしていたことになる。十一月中旬から防衛庁・自衛隊はミサイル輸送船の特定に動いたが、日本領海内を通過しなかったこともあり、不可能だった。日本が情報を事前に得ていたことを内密にしていた背景には、「日本の防衛能力の限界を露呈させるうえ、日朝交渉への道筋をつけるためにも北朝鮮を刺激したくなかった」(政府関係者)という思惑がある。 ミサイル輸出は、昨年九月の「日朝平壌宣言」における「双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図る」という条項に違反するが、日本政府は強硬な抗議はしていない。ここでも日本の北に対する弱腰姿勢がみてとれる。

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