キューバのカストロ国家評議会議長が昨年暮れ、これまで常に出席していた国会の審議を、明確な理由なしで欠席したことから、諸説が飛びかっている。国営放送は「左脚を虫に刺され、感染症にかかったため」と説明したが、ハバナの外交筋の間ではこれを鵜呑みにする者は少ない。 キューバ政界に詳しいペルーの外交官は、「一九七六年公布の憲法で国会が設けられて以来、カストロ議長は一度も欠席したことがなかった。今回出席しなかったのは何か重大なコトが起きたからだ」とし、カストロ議長と弟のラウル・カストロ第一副議長との間で深刻な意見対立があったとのキューバ共産党筋の話を紹介する。 一方、キューバ治安当局と近いベネズエラの外交官は「『カストロ議長は事故に遭い、脚を負傷した』というのが当初の報道だった」点を指摘、「キューバ高官も暗殺未遂事件を示唆していた」と語る。また、ハバナの病院筋の話として「議長が一時、意識を失い、転倒して脚を負傷」との情報もある。 カストロ議長は二月に形式上、任期切れを迎える。健康問題が深刻となれば、続投の線が消える可能性も出てくるかもしれない。

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