家電市場で日本勢にシェア奪回の兆し

執筆者:五味康平2003年2月号

 中国企業の台頭で日本メーカーの姿がすっかりかすんでいた中国の国内家電市場で、松下、シャープなど日本勢が巻き返す動きが見え始めた。洗濯機では松下、日立などがプログラムを組み込んだ全自動型などを中心にシェアを四、五位まで上げてきたほか、冷蔵庫なども大型機種で日本メーカーの名前が上位に復活しつつある。最激戦区のカラーテレビでも液晶、プラズマの薄型大画面の機種ではソニー、東芝など日本勢が優勢だ。 日本メーカー復活の背景要因は大きく三つある。まず第一に部品、素材の現地調達の拡大だ。二、三年前まで白物家電でも日本から部品を輸入、現地で組み立てるケースが多く、中国メーカーとのコスト差になっていたが、昨年あたりから急激に現地メーカーからの調達を増やし、コスト削減に成功した。第二に中国市場向けの独自の製品開発。中国人の住宅サイズや共働きが一般的といった家庭事情を考慮した冷蔵庫、洗濯機の仕様改良や不要な機能を省いた価格引き下げで中国メーカーと渡り合えるようになってきている。第三に家電量販店の台頭がある。中国でも日本のヤマダ電機やコジマのような業態にあたる国美電器、蘇寧電器などの量販店が店舗網を急拡大、メーカー系列店に代わって販売の中核になりつつある。松下、シャープなど日本勢は販売網やアフターサービス拠点の弱さで中国メーカーに後れをとっていたが、マージンが高ければどのメーカーでも販売する量販店の台頭でそうした不利が薄れてきた。

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