“火中の栗”を拾わせる力のないメーンバンクと、拾ってやる義理もなくなった救済役の大手ゼネコン。経産省に縄張りを荒らされまいと身構えた国交省の奇策に背を押され、運命の日が着々と……。 産業と金融の立て直しを支援する産業再生機構の骨格が固まった。だが、政府が不良債権処理の“ウルトラC”と喧伝する一方で、肝心の過剰債務企業はバブル崩壊以降、経営を圧迫し続けてきた債務と本当に縁切りできるのか思案顔。 とりわけ渦中のゼネコン(総合建設会社)業界は、様々な思惑が絡む産業再生機構には経営の先行きを委ねられないとばかりに主要取引銀行や所管官庁との間で自力再建の道を模索してきたものの、視界は鼻をつままれてもわからない闇。問題ゼネコンの運命の日が、明日に控えていても不思議はない。カネにも票にもならぬなら――「好むと好まざるとにかかわらず、産業再生機構は結局、我々とは無縁の存在ということだ」――。政府の産業再生・雇用対策戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)が企業・産業再生の基本指針を発表した昨年十二月十九日、すでに長らく経営不振にあえぎ、金融機関から借金棒引きなどの債務免除も受けてきたある準大手ゼネコン幹部は、冷ややかな口調で結論づけて見せた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。