金正日の「核」を防ぐには

執筆者:徳岡孝夫2003年2月号

 国際原子力機関(IAEA)の査察官二人は追い出され、ウィーンに戻った。北朝鮮は核開発を公然と再開した。 少なくとも三基の原子炉がある寧辺では、核燃料棒二千本を炉の再稼動に備えて搬入した。使用済み核燃料棒の再処理――プルトニウム抽出も始めたらしい。次は当然、ついに核兵器(起爆装置を含む)を持ったぞという「保有」宣言と、それを「使用」するぞという脅迫である。そういう手続きを経ず、いきなり使うかもしれない。「保有」宣言の瞬間に、日本は何らかの行動に出なければ国が危い。世の中で最も危険なのは、失う物を何も持たない人または国だからである。北朝鮮は貨物に隠してイエメンにスカッド・ミサイルを売った。日本の暴力団と携帯電話で連絡しながら、覚醒剤を持ち込もうとした。もはや国家としての体面もへったくれもない。あるのは自分勝手な論理だけ。 ワシントン発の外電を見ると、米政府筋の中には現在の北朝鮮を、ストリップのダンサーに譬える人がいるという。働く者の楽園も主体思想も、みな脱ぎ捨てた。民は飢え、国を棄てている。ミサイルと覚醒剤しか売る物がない。おっぱいもヘソも丸出し。辛うじて秘部を覆う黒い布切れの下には核兵器がある。出すぞ出すぞと、片手は布にかかっている。そういう陳腐なストリップショーを誰が見るか、と言ったと書いてある。

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