「二人っ子政策」は効果をあげるか

執筆者:二上渉2003年3月号

 国連人口基金(UNFPA)のインド事務所のウェブサイトはよくできている。「人口時計」というページにインドのたった今の人口を表示する窓があり、刻々と数を重ねている。 この原稿を書いている今(二〇〇三年二月三日)現在で約十億四千二百三十五万三千人。「約」を付けたのは、ほぼ二秒ごとに数字が一つ(つまり一人)増えるので、そうとしか書きようがないからだ。 人口推計を基にインド政府は二〇〇〇年五月十一日を人口十億人突破の日と発表した。それから三年足らずで四千万人以上、スペイン一国を上回る人口が増えたわけである。二十世紀の百年間で世界の人口は二十億から三倍増の六十億になったが、インドは二億三千八百万から四倍以上に膨れ上がった。 インド政府によると、インドは世界で初めて国家プログラムとして家族計画に乗り出した国だった。一九五二年のことである。しかし、その結果ははかばかしくなかった。人口増加率は一九九〇年代にやっと年二%を下回ったが、合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産む平均の子供の数)は三・三二(一九九五年から二〇〇〇年の概算)とまだまだ高い(日本は一・三三)。一年間にオランダの人口に近い約千六百万人が増えている。今の勢いで人口が増え続けると、早ければ二〇二〇年代、遅くとも二〇四五年には中国の人口を上回り、世界一になると予想されている。

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