BNPパリバ証券がこのほど国内で組成した想定元本約千四百億円の合成債務担保証券(CDO)に市場関係者の注目が集まっている。これまで日本の企業年金のCDO投資はほとんど例がないとみられる中、日本最大級の企業年金基金が購入したと囁かれているからだ。買い手には日立製作所のほか、松下電器産業、富士通、トヨタ自動車などの基金の名前が浮上している。 CDOは債務の支払いを保証することで受け取る保証料収入を担保に発行する証券。今回のCDOは証券化後のリスクの拡大を回避するため、信用力が低下した企業の債務は保証の対象から機動的に外すとはいえ、普通社債に比べると予想される利回りは高く、運用難に悩む企業年金が飛びついた。 日本の企業年金の運用の多様化は米国勢に比べて遅れており、株式や債券に代わる代替投資でも見劣りする。それがいきなり日本企業の信用リスクの取引で高利回りを追求する債券に手を出した格好だ。二〇〇二年度の企業年金の資産運用利回りは初めてマイナス二ケタになるのはほぼ確実。「企業年金はそこまで追い詰められた」との声も出ている。

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