二人の医学生のサクセス・ストーリー(上)
2003年3月号
二人の医学研究者・金島秀人と並川玲子は、一粒種の茉利ちゃん(十二歳)と三人で、シリコンバレーの西側にある丘陵地・ポルトラバレーに住んでいる。庭からデッキに出ると、スタンフォード大学の広大なキャンパスと、その向こうにサンフランシスコ湾を一望できる。「これがアメリカンドリームなんだよ」と自らがロールモデル(目標となる生き方のイメージ)を示す意味で、学生や若い研究者が訪ねてくるときは、このポルトラバレーの自宅に招くようにしていると、二人は言う。 金島と並川は夫婦ではなくパートナー。「名前を変えなければならない不便を乗り越えてまで入籍する価値を感じなかった」ので、日本では籍を入れず、アメリカでも結婚届は出していない。茉利ちゃんは、生母である並川の戸籍に入ったから日本のパスポートは並川茉利、アメリカのパスポートはMari Kaneshimaになっている。それでも何の不便も感じないのは、現代アメリカ、特に、無国籍化が加速度的に進行するシリコンバレーの家族が、実に多種多様だからであろう。「研究者夫婦で、女性が独立した一人の研究者としてきちんと認められることは、日本ではほとんどないんですよ」(並川)
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