米投資ファンドのリップルウッド・ホールディングスが、英ボーダフォン傘下にある固定通信会社、日本テレコムの買収に名乗りを上げた。ファンドの規模は三千億円と言われる。実現すれば、二〇〇〇年の旧日本長期信用銀行(現新生銀行)に続く、国内基幹産業への進出となる。 リップルの対日投資は長銀や日本コロムビア、宮崎シーガイアなどを含めこれで五件目。投資額では長銀の一千二百億円をはるかに超える大型案件だ。二〇〇一年に日本テレコムを買収した英ボーダフォンの本命は携帯電話会社、J-フォン。固定部門の日本テレコムの売却は既定路線だったが、昨年交渉のテーブルについた東京電力とは物別れに終わった。 過去の案件と同様、今回もリップルの思惑には謎が多い。第一、落ち目の固定通信事業だけを買収して勝算はあるのか。 答えとなるのが、「リップルウッドが他のファンドに比べて得意だといわれる『ビルドアップ』と呼ばれる手法」(投資銀行幹部)。規模の小さい企業や、同じ業界だが業態の異なる企業を次々と買収し、最終的に大企業に仕立てる。リップルはこの方法で全米の中小自動車販売会社を買収し、メガディーラーのアズベリー・オートモーティブ・グループをつくり上げた。

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