悪化するコロンビアの内戦

執筆者:前田浩志2003年4月号

[サンパウロ発]南米コロンビアで、国軍と極左ゲリラ組織による内戦が、悪化の一途をたどっている。首都ボゴタで二月七日、極左によるとみられる爆弾テロで、高級社交クラブにいた三十五人が死亡し、百六十人以上が負傷。南部では同月十三日、国軍に協力していた米政府要員三人が、乗っていた軽飛行機の墜落後、ゲリラに連れ去られた。アルバロ・ウリベ大統領は、対ゲリラ強硬姿勢を貫く構えで、南米最古の内戦は、民間人や諸外国を巻き込みながら、国を蝕み続けている。 コロンビアで極左ゲリラが活動を本格化させたのは一九六〇年代。現在は、旧ソ連共産党の影響を受けたコロンビア革命軍(FARC、推定兵力一万七千人)と、親キューバ派の民族解放軍(ELN、同七千人)が中心だ。八〇年代以降は、一万人とも言われる極右民兵が極左に対抗して各地で勢力を伸ばし、内戦をいっそう複雑にしてきた。 昨年八月七日、国会でまさに就任式が催されている最中、官邸に迫撃砲が撃ち込まれるというゲリラの「洗礼」を受け政権をスタートさせたウリベ大統領は、約二十年前に大地主だった父親をFARCとの銃撃戦で失った。自身がゲリラに命を狙われたのも一度や二度ではない。ハーバード、オックスフォードの両大学に学んだインテリ弁護士で、南米の政治家としては珍しく冗談をほとんど口にしないが、大統領選では「私がコロンビアを守る先頭に立つ」とゲリラ取り締まりを強く主張。パストラナ前政権の「対話路線」が成果を挙げられず苛立ちを募らせていた国民の期待を一身に集め、無党派ながら圧勝を収めた。

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