「知財のプロ」を鍛える

執筆者:フォーサイト編集部2003年4月号

 ライセンス・アソシエイト。耳慣れない職業かもしれない。しかし、メイド・イン・ジャパンが復活するなら、彼らが重要な役割を担うのは間違いない。一言で説明すると、大学、研究機関の発明(特許)を企業に売り込みビジネスに発展させる橋渡し役となる知的財産マネジメントの専門家である。 一九九六年、日本の製造業は曲がり角を迎えた。政府は国際競争に勝ち残るため、日本オリジナルの発明を重視するプロパテント政策へ舵を切った。特許によって競争力を維持、向上させようと様々な法整備を進め、ここにきてようやく産学連携、大学による技術移転機関(TLO)の設置といった動きが本格化してきた。ただ、知財の重要性が浸透しても、大学や企業に知財マネジメントができる人がいなければ何も始まらない。 そんななか、昨年十一月、東大先端科学技術研究センターが社会人向けの「先端知財人材育成オープンスクール」を開講した。募集約三十人に対して三百人が殺到した。二月までの講義では研究開発、権利化、事業化、紛争処理など、各段階で生じる問題について、ナノテクノロジー、バイオ、医療といった戦略分野の第一線で働く研究者らがそれぞれ講師を務めた。受講生も、現役の判事、弁護士、弁理士、企業の知財部門トップ、ベンチャーを起こした大学教授等々、こちらも第一線で働く人々ばかりだ。

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