北朝鮮が製造しているといわれる精巧な偽米ドル札、「スーパーK」は、旧ソ連国家保安委員会(KGB)が第二次大戦後、米国の造幣局から盗んだ印刷機で製造されているらしいことがわかった。 元KGB関係者によれば、KGBは冷戦期、米経済を混乱させるため、大量の偽ドル紙幣をばらまくことを計画。造幣局に勤める米共産党員を利用して印刷機を極秘に入手した。古い機械を最新紙幣に対応できるようにするため更新を続けたが、ソ連時代は偽札はあまり製造されなかった。 一九八〇年代後半、冷戦が終わると偽札製造機は必要なくなり、KGBは北朝鮮の要請に応じて供与したらしい。供与協定がモスクワのKGB本部で秘密裏に調印され、印刷機が鉄道で北朝鮮に送られた。北朝鮮は平壌郊外の秘密施設に設置し、百ドル札の偽造を行なっているという。 米側はこうした経緯をロシア側から把握している模様で、よど号グループの田中義三被告が九六年にカンボジアで逮捕された際も、スーパーKの所持が疑われた。昨年十月訪朝したケリー米国務次官補は「偽札製造中止」を北朝鮮に求めたが、この事実は報道されていない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。