売買手数料の下落やITバブルの崩壊で、かつての花形職業だったアナリストに逆風が吹いている。金食い虫のうえに信頼性も低下した彼らを抱えておけるほど、いまの証券会社に余裕はない。「リサーチ部門の消滅の可能性も、極論とは言えない」――。野村総合研究所資本市場研究室の大崎貞和室長は証券アナリストの置かれた現状を強く憂慮する。売買手数料の急低下やアナリスト不信が、つい最近まで花形職種だったアナリストの居場所を狭めている。 アナリストの報酬は機関投資家など大口投資家の売買手数料からひねり出される。一九九九年十月に株式委託手数料が完全に自由化され、二〇〇〇年前半にITバブルが崩壊すると、証券各社の間で大口注文のディスカウント合戦が始まった。機関投資家向け手数料はほんの二年ほど前まで、一億円の売買を成立させて二十万円が相場だったが、今や十万円程度は当たり前。「信託銀行や保険会社の超大口注文だと、限りなくタダに近い水準で受ける」(米系証券)のも珍しくない。 証券会社が手数料の値引きに走ったのは、機関投資家の圧力には勝てないからだ。最近では信託銀行や保険会社ばかりでなく、中規模の機関投資家からも「リポートはいらないから手数料を引き下げてほしい」と要請されるという。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。