竹島一彦委員長の就任で機能強化が期待された公正取引委員会が、再びその鈍重な馬脚を現しはじめている。竹島委員長は官邸と各省庁間の調整役を担う内閣官房副長官補からの転身だ。二〇〇一年から昨年七月までの前職在任中は、小泉改革の水面下のキーパーソン。公取委関係者の間で期待感が高まったのも無理はない。ところが規制緩和と景気低迷で企業の生き残り競争がますます激しくなる中、この「競争の番人」は息を潜めているかのようだ。 新興の固定電話会社・平成電電が昨年七月、固定電話から携帯電話への通話料金の決定権をNTTドコモなどの携帯電話会社側が持つという業界の慣例にかみついた。携帯電話向けの通話料金を自社で決められないため、安い通話料金を提供できなかったのだ。 平成電電は公正取引委員会と総務省(旧郵政省)の両方に事態の改善を訴える。同社の申請を受けて昨年十一月、総務省の電気通信事業紛争処理委員会は条件付きながら平成電電に軍配をあげた。一方の公正取引委員会は、今もその判断を公表していない。 実は公取委はあらかじめ、「携帯電話会社の料金設定権は独禁法違反ではない」という結論を用意していたフシがある。「総務省が新興通信会社の味方をするような判断を下すわけがない」という読みからだったと、ある関係者は指摘する。

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