島の領有権が裁判で決まった

執筆者:マーク・バレンシア2003年4月号

二つの島の領有をめぐるマレーシアとインドネシアの争いは国際司法裁判所に持ち込まれた。裁判所の判断とは、いかなるものだったか。日本がこのケースから学ぶべき教訓とは何か――。[ホノルル発]竹島や尖閣諸島のような小島の領有権を巡る争いは、北東アジア諸国の外交関係にしばしば亀裂を生じさせてきた。だが今後は、こうした問題の解決のために国際司法裁判所を活用することが増えるかもしれない。というのも、昨年末、二つの小島を巡るマレーシアとインドネシアの主権争いが同裁判所で決着したからだ。今年一月中旬には、マレーシアとシンガポールが、シンガポール海峡に浮かぶペドラ・ブランカ島の領有権問題で同裁判所に提訴している。その意味で、昨年末の裁定は、同様の問題を抱える国々にとって大いに参考になるはずだ。 二〇〇二年十二月十七日、国際司法裁判所は、カリマンタン(ボルネオ)島北東のセレベス海に浮かぶシパダン島とリギタン島について、インドネシアではなく、マレーシアに領有権があるという裁定を下した。この二島は住む人も少なく、漁船の立ち寄りや灯台設置、ダイビングスポットとして使われているだけである。しかし、周辺水域には石油やガスが埋蔵されていると見られるほか、漁業や観光でも開発の余地が十分にある。そのうえ、大陸棚や二百カイリの排他的経済水域を決定する際の基線となる可能性があるとあって、マレーシアとインドネシアは主権を争っていたのだ。

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