香港最大手キャセイ・パシフィック航空の中国本土線の就航申請をめぐり、これに反対する香港第二位ドラゴン航空との対決が最終局面を迎えている。一月から香港高裁で開かれている公聴会では両社による意見陳述が終了、裁判官の判断待ちの状態だ。キャセイは、本土線参入にゴーサインが出た場合、航空運賃で勝負に出る方針を示唆。中国線を増強してきた日本の航空各社などとの競争激化は確実とみられている。 この争いに火を付けたのは、実はドラゴン。香港航空業界では「一航空路線、一航空会社」という原則があるが、ドラゴンは昨年七月、キャセイが独占してきた香港―台北線に参入を果たした。一路線一社の原則は事実上撤廃されたとみて、キャセイも同八月、香港と北京、上海、厦門間を結ぶ本土三路線、週五十六便の就航を申請している。 公聴会は、キャセイが「申請の正当性」を、ドラゴンが「経営への打撃」を主張する構図で終始。ドラゴンによると、キャセイが三路線を運航すれば、北京線で二十二万一千人、上海線で三十一万四千人、厦門線で二万四千人と大量の旅客を奪われ、年間六億香港ドル(約九十億円)の収入ダウンにつながるという。ただ、キャセイ側は、シドニーやシンガポールなどから中国本土に向かう旅客をターゲットにしており、ドラゴンと直接的な競争は生じないとしている。

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