ロシア・プーチン政権の主要課題である行政改革をめぐり、首相と経済担当の主要閣僚が権限争いを繰り広げている。プーチン大統領も手を焼いており、全内閣更迭の観測さえ出始めた。 激しく対立しているのは、経済全般を統括するカシヤノフ首相と、主要閣僚のグレフ経済通商相、クドリン副首相兼財務相。保守派の首相が既得権益を維持し、改革を骨抜きにしようと躍起なのに対して、改革派のグレフ、クドリン側は行政改革を自らの権限拡大につなげようと目論んでいる。 首相は実質的な権限のない国家統計委員会を経済通商省に編入することなどで改革のお茶を濁したいが、グレフ氏は利権が絡む国家関税委員会や国税省の取り込みを要求。この対立が行政改革の行方に暗雲を投げかけている。 大統領は閣内対立から距離を置き、当面は静観の構えだ。根はカシヤノフ首相嫌いといわれるが、経済失政のない首相の首をすげ替えることもできないジレンマを抱えている。このため内閣の確執が深まれば秋には内閣全体を更迭し、与党「統一ロシア」を基盤にした“議院内閣”を組閣するとの憶測も流れている。

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