独立をめぐる紛争が続くロシアのチェチェン共和国で三月二十三日に行なわれた共和国憲法制定をめぐる住民投票の公正さに、内外から強い疑問の声が上がっている。しかし、米国も日本も、イラク情勢をめぐって微妙な立場をとるプーチン政権に配慮、あえて見て見ぬふりを決め込んでいる。 投票にかけられた憲法案は、共和国がロシア連邦の一部であることを明記しており、憲法制定によって独立問題に形式的に終止符を打つのがロシア側の思惑だった。クレムリンの息がかかった共和国選管の発表によれば、投票率は八九・四八%で、このうち九五・九七%が憲法制定に賛成した。 ロシア大統領府は不正隠しのため、ジャーナリストのチェチェン取材を厳しく制限した。それでも、ほとんど人影がない投票所で、投票率が七〇%を超えたと係員が報告する光景などが目撃された。 米国は実態を承知の上で「疑問点は多いが、政治的解決への第一歩」(駐ロシア大使)と表明。日本も同じコメントを発表した。プーチン大統領は「独立問題の終結」を宣言したが、独立派を抑えるためには今後も長期的な軍事支配が必要とみられている。

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