北朝鮮の核開発問題への対応をめぐり、外務省が内部分裂を起こしている。 分裂の引き金は、米国による北朝鮮への経済制裁論。ブッシュ政権が今後、北朝鮮からの核関連物質輸出に限定した船舶検査活動など、何らかの制裁を検討しているとの報道が米欧から流れているためだ。 茂木敏充外務副大臣は、非公式とはいえ、北朝鮮が先の米中朝の三カ国協議で核保有を認める発言をしたことについて、「もはや北朝鮮への対応を論ずる次元が違ってきた。具体的な制裁論を日本政府も検討すべきだ」と周囲に語っている。「平和的解決には対話を促す圧力も必要」との立場をとる北米局と総合外交政策局も茂木氏に同調している。 だが、竹内行夫外務事務次官は「制裁は北朝鮮を刺激するだけ。国の安全保障に責任のある者は軽々に制裁論を口にすべきでないし、外務省全体の見解でもない」と“火消し”に躍起。アジア大洋州局幹部もあからさまに茂木批判を口にするが、「北に優しい」外務官僚たちの主張はますます説得力を失うばかりだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。