生命保険会社が契約者に約束した運用利回り(予定利率)の引き下げ制度化をめぐり、与党三党は五月の連休明けから検討を再開した。「解散・総選挙の日程をにらめば最後のチャンス」(与党金融族議員)とばかり今国会中の保険業法改正を目指すが、実現までの道のりは遠く、「(破綻の)生け贄でもあれば……」(関係者)との冗談とも本音ともつかない意見まで飛び出している。 生保各社は、契約者が払う掛け金を予定利率で運用することを前提に保険金額を決めており、バブル期に年四―五%の高利率で契約した個人保険を大量に抱えている。株安や超低金利で実際の運用利回りが予定利率を下回る「逆ザヤ」は、主要十社で毎年一兆五千億円も発生している。 このため金融庁は二〇〇一年、金融審議会でいったんは引き下げ制度化の中間報告をまとめるが、契約者や生保業界の猛反発を受けてこれを見送っている。今年に入って、自民党の麻生太郎政調会長や相沢英之デフレ対策特命委員長、公明党の冬柴鐵三幹事長らを中心に、予定利率引き下げの機運が再び浮上。そこで金融庁は、(1)引き下げに下限を設ける(2)全社一律ではなく各社の自主的な判断による、などを柱とした保険業法改正案を用意したが、与党内では四月の統一地方選への影響を懸念し、今年二月に自民党の山崎拓氏ら与党三幹事長が「国民的な議論が得られておらず慎重に議論を進める必要がある」として、検討作業を事実上凍結してきた。

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