抜きんでて収益をあげた三井住友、“貸し興し”が不発に終わった東京三菱の決算が物語る、メガバンクの真の姿。 様々な金融サービスを提供する大手銀行の収益構造は複雑だ。決算書を見ただけでは、儲けの源がどこにあるのか知ることは難しい。しかし、銀行の資産を大きく「貸出」「株式」「債券」の三つに分類し、銀行をこの三つの“ファンド”の運用業と考えれば収益状況の把握はしやすくなる。 まず「貸出」は、収益性が低くしかも不良債権の温床。「株式」は株価の低迷にあえぎ、含み損も多く抱えている。結果的に「債券」での投機だけが頼りということになる。現在の銀行はある意味で「不良債権を抱えた債券ヘッジファンド」に近い構造だ。金融当局は貸出利ザヤの拡大を通じた収益改善を銀行に求めているが、現在の銀行の収益構造を見れば、およそ現実離れしている。リスクをとった三井住友 通常、資産運用会社は資産規模が大きいほど収益も膨らむが、大手銀行の場合は資産規模と収益に相関性はないようだ。先頃公表された二〇〇二年度決算で総資産規模(単体ベース)を見てみると、みずほグループ(みずほコーポレート銀行とみずほ銀行)百二十九兆円、三井住友銀行九十八兆円、東京三菱銀行七十一兆円、UFJ銀行六十九兆円となっている。これに対し、実質業務純益は三井住友一兆千百三十六億円、みずほ八千百四十六億円、UFJ六千七百六十八億円、東京三菱五千百十五億円で、資産対比の収益は三井住友が群を抜いている。不良債権処理前の数字とはいえ、三井住友の収益はトヨタ級だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。