かつて親会社の伊藤忠商事が計上した多額の特別損失を、上場による特別利益で埋めた伊藤忠テクノサイエンス(CTC)。しかし、いまや飛ぶ鳥を落とすかつての勢いは影を潜めた。 二〇〇三年三月期決算では監査法人から前期決算で売上高を過剰計上したとの指摘を受け、純利益も従来の発表に比べ十億円下方修正した。CTCの行なった会計処理は、決算期末に納品していなくても、三カ月間以内に出荷する見込みがあれば一定の条件の下で売上に計上するというもの。これ自体に問題はないが、精査したところ、三カ月以内に出荷できない取引が含まれていたという。 ITバブルの傷が癒えない情報・電機業界にあって「この手の売上計上はCTCに限らず、いたるところで見られる」(業界関係者)という。業界最大手クラスでも、先の三月期決算では「数字」を確保するために全社を挙げて奔走する姿が目立った。だが、「強引に売上に押し込むなど、法的にも問題になりかねない会計処理をしているのではないか」との指摘がある。CTCのケースはIT業界の窮状を示す象徴的な事例ともいえそうだ。

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