五月二十六日に東北地方で震度六弱を記録した宮城沖地震の発生時の対応をめぐり、防衛庁内で人事抗争が勃発している。背景にあるのは次期事務次官レースだ。 同庁関係者によると、先に仕掛けたのは主流派とされる守屋武昌防衛局長(1971年入庁)派。“非主流派の次官候補”嶋口武彦防衛施設庁長官(70年)が地震発生後の庁内の緊急幹部対策会議に酩酊状態で出席し顰蹙を買ったとの情報を週刊誌などにリークした。 これを受けて庁内の守屋派は「もともと酒癖の悪さが指摘されていた嶋口氏の次官就任の目は完全になくなった」と“勝利宣言”した。ところが一転、今度は守屋氏が地震発生後も宴会で酒を飲み続けていた事実が発覚。これは「嶋口派の逆襲」(内局幹部)との見方がもっぱらだ。 嶋口氏と守屋氏が次官ポストを激しく争う裏には、入庁年次では嶋口氏が上なのに年齢では逆に守屋氏の方が上という“ねじれ”など、役人特有の論理がある。 本筋を離れた今回の泥仕合に石破茂防衛庁長官は「庁内の膿を出し切る好機だ」と綱紀の粛正を図る方針を示したが、次期次官はやはり守屋氏というのが防衛庁内の衆目の一致するところだ。

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