原発トラブル隠しに続く余震は、民間が「公益」を担う矛盾を暗示している。時代遅れの電力体制の改革が不可欠だ。 日本経団連会長はじめ財界リーダーが輩出し、日本の産業界に君臨して来た東京電力がもがき苦しんでいる。昨年八月末に発覚した原子力発電所のトラブル隠し、検査不正事件で保有する原発が運転停止を余儀なくされ、七、八月には首都圏で停電が起きる可能性が次第に高まっているからだ。四月十五日には福島第一、第二、柏崎刈羽(新潟県)原発の合計十七基すべてが停止するという前代未聞の事態に陥った。その後、安全性に問題がないと認定された柏崎刈羽六号機が運転を再開したが、電力需要期に入る七月までに何基が運転を再開できるかは不透明なままだ。 東電では昨年八月末に事件が発覚した当時の平岩外四、那須翔両相談役、荒木浩会長、南直哉社長の首脳四人が全員顧問に退き、原発の現場管理者、本社関連部門を社内調査した報告書をまとめあげたが、今回の原発トラブルを乗り切り、首都圏大停電を避けるメドをつけることはまだ出来ない。新潟県は一九九六、九七年に運転を開始した最新の柏崎刈羽六、七号機についてこそ再稼働を了解しているが、それより古く、一部シュラウド(炉心隔壁)にヒビなどもみつかった一―五号機については慎重な姿勢を崩していない。

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