二〇〇二年三月、電撃的に発表された世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズの日本進出。西友を買収し、一気に国内四位のスーパーに躍り出る対日攻略計画は流通業界を震撼させた。それから一年余り。相思相愛で結ばれたはずの両社の関係に異変が起きている。「元気がないといわれるとはショックだった」。西友の木内政雄CEO(最高経営責任者)は、五月二十九日に都内のホテルで開かれた株主総会後の株主懇談会の席上で溜め息をついた。この日午前の株主総会の模様は、「西友の現状をさらけ出していた」(西友OB株主)。渡邊紀征会長や木内氏らの日本人経営陣と、新たに西友の経営陣に加わったウォルマート・ストアーズの外人部隊とが冷たい関係になっていることを株主に実感させてしまったのだ。 株主総会の運営を任されていた日本側のやる気の無さはありあり。ホテル内に会場の場所を示す案内板も見当たらない。開会直前になっても付近の通路には照明をつけず、薄暗いままで、とても株主をもてなすという雰囲気ではなかった。総会は開会直後から荒れ模様。ジェフ・マカリスターCOO(最高執行責任者)ら米国勢は壇上中央に進み出て片言の日本語を交えながら笑顔で挨拶したが、日本側経営陣はマイクのあるところまで行かずに小声で挨拶。即座に株主からは、「聞こえないぞ。誰が誰だかわからないじゃないか!」、「やる気があるのか」とヤジが飛んだ。

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