国が地方自治体から“貸し剥がし”。地方交付税四割削減を謳う「三位一体改革」の裏側では……「こんな構想が実現したら日本の地方自治は本当に崩壊してしまう……」 地方分権改革推進会議(分権会議)の西室泰三議長が「三位一体改革についての意見」を小泉純一郎首相に提出した六月六日、総務省の幹部は呻くように言った。 三位一体改革とは、地方自治体の財政的な自主権を高めるため、「国庫補助事業の縮減」「国から地方への税源移譲」「地方交付税制度の見直し」を三点セットで進めるというものだったはず。ところが、分権会議の「意見」は、国庫補助事業の縮減と税源移譲は曖昧にしか盛り込まず、自治体財政を支える地方交付税の削減をことさら強調する内容になっていた。 地方分権と言えば、一九九六年から九八年の五次にわたる勧告で、国の権限の多くを地方に移譲させた地方分権推進委員会(分権推進委)が思い起こされる。分権推進委の審議は、旧自治省(二〇〇一年一月から総務省)が主導。嫌がる他省庁を押し切って、地方への権限移譲を実現させた。 分権会議は、解散した分権推進委の後を受けた首相直属の諮問機関。権限に見合う財源を国から地方に移管する段取りを検討するはずだったが、ここで議論の方向性を決めたのは財務省だった。小泉政権で財政再建路線を推し進める同省は、地方への税源移譲阻止と地方交付税の大幅削減を実現するため、全力を傾注した。また、分権推進委の勧告で権限を削られた国土交通、農林水産、厚生労働などの事業官庁は、総務省への恨みを晴らそうと、補助事業縮減について徹底したサボタージュを決め込んだ。

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