下に財務省(旧大蔵省)出身者が占める主なポストを一覧にしてみた。日本という国においては、おカネの流れるところ全てに財務省の意向が及んでいることがよく分かる。 現在の財務省人脈最大のキーパーソンは武藤敏郎日銀副総裁(→13頁)。小泉純一郎首相の信頼も厚く、五年後には日銀総裁とも言われる彼の下、日銀は「財務省所管の政府系金融機関」の色合いを強めている。「構造改革」を謳う小泉政権だが、官房副長官補の伏屋和彦氏、経済財政・経済社会システム担当審議官の坂篤郎氏など、官邸・内閣府の枢要なポストには財務省出身者が目を光らせる。特に「将来の次官候補」とも言われる丹呉泰健首相秘書官の存在は非常に大きい(→12頁)。その「成果」というべきか、特殊法人見直しの流れの中でも政府系金融機関はほぼ無傷で残っており、歴代次官など多くの幹部の天下り先として健在だ。また、今夏の財務省人事では、官邸及び塩川財務大臣の意向が大きく影響した形跡が認められる(→18頁)。 橋本政権下で実現した「財金分離」も完全に反故にされたようだ。金融庁の幹部は全員が旧大蔵省出身者。のみならず、公正取引委員会委員長ポストも「奪還」し、金融庁の下に入った証券取引等監視委員会を含め、財務省は「市場の番人」の地位も確保している。

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