小泉純一郎政権を支えるキーマンの一人、財務省(旧大蔵省)出身の丹呉泰健首相秘書官(五二)の評価が高い。財務省が送り込んできた過去十年の首相秘書官の中で「ナンバー1」(財務省関係者)とも言われており、小泉首相は九月の自民党総裁再選以後も引き続き丹呉氏を留任させる考えだ。「武藤首相、丹呉蔵相、小泉広報担当相」。「十年に一人の大物次官」と言われた武藤敏郎事務次官(当時、現日銀副総裁)と丹呉秘書官に経済政策を「丸投げ」する小泉首相を揶揄して、霞が関で流布された言葉だ。 丹呉氏は昭和四十九年に大蔵省入省。主計局を中心に歩んできた本流中の本流で、森喜朗政権で首相秘書官を務めた杉本和行財務省主計局次長と共に、同期の中では将来の有力な事務次官候補だ。「人当たりが良く抜群に頭が切れる」(財務省幹部)と評判も上々。小泉首相は、山崎拓幹事長らとの重要会談にも必ず丹呉氏を同席させる。首相の側近で政務担当の飯島勲秘書官も丹呉氏には全幅の信頼を置いている。首相秘書官には経済産業、外務、警察の各省庁からも出向しているが、「丹呉氏の扱いは別格」(首相官邸筋)という。 丹呉氏が小泉首相と関わったのは、厚生・労働担当主計官時代。当時厚相だった小泉首相の秘書官を飯島氏が務めており、予算折衝での意見交換を通じて親しくなったという。二〇〇一年の総裁選で小泉首相の誕生が確定的になると、武藤次官は、主計局次長だった丹呉氏に白羽の矢を立てた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。