オーストラリアと東ティモールの間に横たわるティモール海上の石油・天然ガス埋蔵地、バユ・ウンダンの開発が六月に始まった。 開発を手がけるのは、米国企業コノコフィリップスを主体とする企業連合で、プラントなどは米ベクテルが建設する。採掘された天然ガスは南東約五百キロに位置する豪ダーウィンに海底パイプラインで運ばれて精製・加工され、東京ガスと東京電力が二〇〇六年から年間三百万トンを購入することがすでに決まっている。 ところが、このバユ・ウンダン開発をめぐってきな臭い話が浮上している。六月中旬、ダウナー豪外相が沖合いの石油・ガス開発施設は攻撃を受けた歴史があると指摘、同開発区の施設がイスラム過激派のテロの対象となりうると示唆したのである。オーストラリア空軍は、ダーウィンに近いバサースト島の防空レーダーシステムを改善し、防衛能力の向上に乗り出したという。 イラク攻撃に参加したオーストラリアで、ブッシュ米大統領とも関係の深い米系石油関連企業が開発し、米国を支持した日本が買う……となれば、テロは「杞憂」とは言い切れないかもしれない。

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