絶対の政治基盤を築いたかに見えるロシアのプーチン大統領だが、実は前任者のエリツィン氏の影響下から脱却できないでいる。 プーチン氏はもともと、エリツィン氏が、引退後の生活の保障と、現役時のスキャンダルを後から刑事訴追しないことを確約させた上で、後釜に据えた経緯がある。 プーチン氏はその後、自らの出身地、サンクトペテルブルクの元KGB(国家保安委員会)関係者らを身辺に配したが、ウォロシン大統領府長官、カシヤノフ首相ら、政権の中枢を担うエリツィン・ファミリーも依然として健在だ。特にウォロシン長官は大統領府の巨大な官僚機構を牛耳っており、彼が政権を去れば、クレムリンの手足はマヒ状態となる。 プーチン氏は最近、ファミリーの一角であるルシャイロ安全保障会議書記の解任をエリツィン氏に打診したが拒否された。サンクトペテルブルク第一副市長就任をきっかけに中央政界に進出する過程で、表には出せない方法を用いたとされるプーチン氏。その弱みをエリツィン氏が握っているため、大統領は来年の大統領選挙を前に脱エリツィンの狼煙を上げられないとみられている。

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