「こんな状態で話が進むのか」と担当者は思わずつぶやいた。七月三日午後、ダイエーが福岡三事業のうち売却方針を固めているドーム球場、ホテルの事業買収に名乗りを上げていたある外資系投資ファンドに、二次選考への案内が伝えられたときのことだ。 五月下旬に締め切った一次選考では五社が候補に上ったが、二次に進んだのは米不動産投資会社コロニー・キャピタル、米投資ファンドのリップルウッド・ホールディングス、米リーマン・ブラザーズ証券の三社。ダイエー側は八月末までに一社に絞り込みたい意向だが、三社の関係者はみな、二次選考はよほどのことがない限り前に進めないと見ている。 その一因は、地元の金融機関の窓口的な存在である福岡銀行の強硬姿勢だ。ダイエーの福岡事業分の有利子負債は約千二百億円。このうち約六百六十億円が、ダイエーのメーンバンクであるUFJ銀行のほか三井住友銀行、みずほコーポレート銀行の東京三行と、福岡銀行、福岡シティ銀行、西日本銀行の地元三行からのものだ。買収金額の資産査定の前に、この有利子負債処理策を決めないと福岡事業の事業価値は決まらない。「中途半端な債権放棄では追加の支援が必要になる」(福岡銀幹部)からだ。

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