イッショニ ヤリマセンカ

執筆者:西川恵2003年8月号

 東京・目黒のアルジェリア大使公邸で六月十九日、アルジェリアの地震救援に派遣された国際緊急援助隊を慰労するパーティーが開かれた。ベンジャマ大使は「あなた方はヒーローだ。アルジェリアの被災者を勇気づけ、両国友好に多大な貢献をした」と称えた。 アルジェリアのワインと料理が振る舞われ、大使は参加者の間を回って労をねぎらった。地震発生からわずか一カ月。パーティーには、日本に対するアルジェリアの感謝の気持が込められていた。 首都アルジェの東方ブーメルデス県をマグニチュード6.7の地震が襲ったのは五月二十一日夜(日本時間二十二日未明)。死者は二千二百人を超え、負傷者一万人以上を出す大惨事となった。 元締めの外務省は国際協力事業団(JICA)に国際緊急援助隊の派遣命令を発令。JICAは警察、消防、海上保安庁の救助隊員、それに医師、看護士などの登録者に連絡をとり、地震発生から九時間後には第一陣の救助チームが成田空港から飛び立った。 この素早い出足で、第一陣は距離的には遥かに近い欧州諸国の救援チームとほぼ同着となった。二十三日にはトルコ救援隊との共同作業で、ホテル倒壊現場で生き埋めになっていた男性(二一)を救出する手柄を立てたのである。

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