日露両国が、来年のプーチン大統領公式訪日の前段として公式合意したカシヤノフ首相の年内訪日が危ぶまれている。 首相は、「ファミリー」と呼ばれるエリツィン前大統領派の中核。最近、ビクトル・イワノフ大統領府副長官らプーチン大統領周辺の旧KGB(国家保安委員会)出身者が検察を操って進めている新興財閥捜査を、カシヤノフ首相は公に批判している。 ロシア政府筋によると、首相と元来馬が合わない大統領は、こうした首相の言動に激怒、捜査の矛先を今度は首相近辺に向けるよう密かに指示。“天の声”を聞いた検察は、首相の側近が頭取を務めるロシア発展銀行の大口取引先、トラスト銀行の幹部から事情聴取を始めた。聴取の内容は、トラストから取引先への資金の流れが中心とされ、ロシア発展銀行から首相へと、嫌疑をつなげる意図がうかがえる。 捜査は八月中に急進展する可能性がある。この間は下院が夏休みの休会中で、野党改革派の批判も最小限に抑えられる。七月末にモスクワ市検察のトップが突然交代したのも、カシヤノフ首相追及の前兆との見方が浮上している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。