七月中旬、西アフリカのサントメプリンシペとリベリアで紛争が発生した。サントメプリンシペでは無血クーデターによって政権が機能停止に追い込まれ、リベリアでは政府軍と反政府ゲリラの戦闘が激化し、国連が多国籍軍を派遣する事態となった。 意外にも、この西アフリカの小国の行方に最も気を揉んでいるのは台湾かもしれない。実はサントメプリンシペ、リベリアは、台湾が正式に国交を結ぶ二十七カ国のうちの二カ国だからだ。 中国への対抗上、一つでも友好国を増やそうと外交努力を続けてきた台湾にとって、国交を持つ国が減るなどもってのほか。これまでも中国が親台湾国家の切り崩しを図ってきており、昨年七月にも南太平洋のナウルが、台湾との外交関係を破棄して中国と国交を結んだ。今回も政権交代などを機に両国に接近することに神経を尖らせている。 中台間の外交の綱引きが火花を散らしそうな両国には、平和維持軍とは別に、米国も軍の派遣を検討している。西アフリカの小国で発生した紛争といえども軽視できない。

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