郵便物輸送の委託先を決めるために日本郵政公社が導入した競争入札で、旧郵政省出身者が天下りしている“郵政ファミリー企業”が大打撃を受けている。 ファミリー企業はこれまで「不透明かつ常識外れの価格」との批判のなか、随意契約ですべての輸送路線を独占してきた。しかし、八月七日に実施された既存の長距離トラック便十九路線の入札では、過半数の十路線を新規参入の民間業者八社が落札。ファミリー企業は年間取引金額で数億円を失う勘定となった。 何とか落札できたところも内情は火の車。郵政公社が「競争入札による経費削減効果は大きい」と胸を張る一方で、落札価格は現行運賃に比べ平均で約三割下落し、最も値下がりした「広島―金沢」路線では価格はほぼ半減している。 郵便物輸送以外の事業ノウハウを持たず、公社との契約を逃せば仕事がなくなるのがファミリー企業。そのため「採算度外視で契約を取りにいったところがほとんど」(関係者)という。 現在は部分実施の競争入札も、将来的にはすべての契約に適用される。苦肉の策として談合などが始まらないといいのだが。

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