ネットサービスの星ともてはやされてきたIIJ(インターネットイニシアティブ)だが、業績は不振を極め、経営不安説まで囁かれている。このほど財務立て直しのため第三者割当増資を行なったが、調達見通しは当初計画の半分にも届かない状況だ。 こうしたなかでIIJがラブコールを送るのが、あおぞら銀行の株式売却で一挙に大金を手にしたソフトバンク。ソフトバンクは「企業向け通信サービスの強化が次の最重要課題」(ソフトバンク幹部)だが、これまで取り組んできた「ヤフー!BB」のような個人向け通信とは、必要な技術力のレベルが違う。そこで技術力には定評のあるIIJが、「生き残りを賭けてソフトバンクによる増資引き受けを検討している」(大手プロバイダー首脳)というのだ。 IIJは現在も各方面との増資交渉を続けているが、「当てにしていた伊藤忠商事やNTTコミュニケーションズとの溝は大きく、交渉は不調に終わる」(業界関係者)と見る向きが多い。かつてソフトバンクに対し「技術の裏づけがない」と痛烈な言葉を投げつけていたIIJの鈴木幸一社長にとって、これほど皮肉な話はない。

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