カンボジアの連立与党第二党フンシンペック党の党首を務めるラナリット殿下(五九=前下院議長。シアヌーク国王=八〇=の次男)に、七月末の総選挙での惨敗の責任論が浮上している。日本政府監視団の団長を務めた今川幸雄元駐カンボジア大使も「党首の指導力と人気に問題があった」と指摘する。 同党は、昨年二月の地方選で大敗、そのまま総選挙に突入。与党第一党の人民党と野党サム・レンシー党(サム・レンシー党首=五四)の狭間で、王制支持を唱えて党勢拡大を目指した。しかし、世代交代とともに「王室離れ」も進み、特に首都プノンペンなど都市部では、強権手法のフン・セン首相(五二)との対決色を鮮明にするサム・レンシー党への支持が拡がっている。 機を見るに敏なラナリット殿下は総選挙後、サム・レンシー党との「共闘」を宣言。一九九七年以降、フン・セン氏の弾圧を恐れて出・帰国を繰り返しながら、最終的に人民党との連立に参加した優柔不断な過去を熟知しているフンシンペック党幹部は「サム・レンシー党人気に便乗するつもりだろうが、これでまた党の存在意義が問われてしまう」と「殿下のご乱心」に苦り切っている。

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