“太るアメリカ”のダイエット論争

執筆者:ルイーズ・ブランソン2003年9月号

総額五百億ドルにのぼるアメリカの「ダイエット産業」。でも、何をどう食べれば健康的なのかは、結局誰にもわからない……。[ワシントン発]食べ物、すばらしき食べ物。巨大ハンバーガーに超特大フライドポテト、三十センチもあるホットドッグ、クリームソーダ。巨大ピザに、溶かしバターをたっぷりかけた一抱えもあるポップコーン。もうおわかりだろう。アメリカ人は根っから、食べることが好きなのだ。食べて、食べて、食べまくる。 過去四、五十年の間に、こうした食べ物の選択肢と摂取量は想像を絶する勢いで増え続け、それとともにアメリカ人の胴回りも大きくなる一方だ。今や三人に一人は「肥満」に分類される。通りをちょっと歩けば、この統計が事実であることを実感できるはずだ。 しかし、アメリカ人の大食いで稼いでいるのはレストランやファストフード店ばかりではない。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いなのがダイエット産業。昨年、アメリカ人は総額五百億ドルをダイエットに注ぎ込んでいるのだ。 この五月、新たなダイエット情報が全米各紙の大見出しを飾り、朝のトークショーの話題をさらったのも頷ける。権威ある医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に、かねてから論議を呼んでいた「アトキンズ・ダイエット」の効果を証明する研究結果が二つも掲載されたのだ。

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