居直るNTTの“政治頼み”

執筆者:2003年9月号

接続料値上げの次は光ファイバー開放義務の撤廃を画策。政治力にモノをいわせ、ガリバー企業は既得権益にしがみつく。「NTTの光ファイバー開放義務を撤廃すれば競争が停滞しブロードバンド普及の妨げになる」「いや、このまま安い価格での開放を続ければ採算割れし、新規の設備投資意欲が削がれる」――。 七月上旬、通信政策の根幹を決める衆院総務委員会が紛糾した。議題は、NTTの光ファイバー開放義務の撤廃問題。NTT東日本とNTT西日本が持つ総延長二十六万キロメートルの光ファイバーは、市場占有率が五〇%を超えるために総務省令で定める指定電気通信設備と規定され、他の事業者に全国一律料金で貸し出すことが義務付けられている。「ダークファイバー」と呼ばれる未利用の光ファイバーを芯線一本ずつ借りられるこの制度を使い、ソフトバンクなどが格安のADSL(非対称デジタル加入者線)サービスを展開し、瞬く間に会員を増やしたのはご存知の通り。この開放義務が現在のブロードバンド普及の基盤であり、その撤廃は自ずとブロードバンド普及におけるNTTの主導権奪回を意味する。 国会に開放義務の撤廃を提案したのは、民主党の内藤正光参院議員らで、背後でNTT労組が動いたとされる。

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