極秘裡に準備が進むソニー「全社員年俸制」

執筆者:明石建夫2003年10月号

 ソニーが「年俸制」を全社員に拡大する準備を極秘裡に進めている。むだな残業を廃し、有能な人材は高給で遇する米国並みの給与改革だ。実施されれば、大手企業初の試みとなる。 ソニーグループの正社員はリストラでやや減ったものの、いまでも十六万人前後。今回の構想は、管理職に導入済みの年俸制を、女性社員を含む全ての一般社員に拡大しようというものだ。現在、組合と最終折衝中で、了解が得られれば来春にも実施される。 検討中の案は、(1)まず、現在の年収や実績などを考慮して新たな年俸を決める(2)年俸制開始後は、年度末に社員に仕事ぶりを自己申告させ、実績や翌年の目標などをもとに新年俸を決める(3)賞与も基本的に年俸に含まれるが、年俸を例えば十六分割して、十六分の四を従来のように年に二回支払うことも可能――というのが骨子だ。「大きいのはダラダラと残業をしている者の給与を下げられること。そのカネを開発部門に回せる。がっかりする者とやる気を出す者の明暗がくっきり分かれそうだ」(ソニー本社関係者) ソニーが先駆者となり、他の企業がその経営・人事の手法を模倣したケースは多々ある。履歴書に学歴を記入しない学歴不要論、各部門を独立採算制にして競わせるカンパニー制、上司に知られずに希望部署への異動に道を開く社内FA(フリーエージェント)制、執行役員制……。

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