「アメリカ時代の終わり」を静かに受け入れよ

執筆者:チャールズ・カプチャン2003年10月号

イラクをテコに中東全域の民主化を目指したブッシュ戦略は破綻した。失敗は、世界が「戦略的転換の時代」に入った事実を見誤った結果である。民主党系の気鋭の論客が、今後十年の地政学的展開を描く。 バグダッドでは不穏な情勢が続いており、イラクの秩序回復と日々の生活物資の供給にアメリカが手を焼いている。イラク戦争の開戦が差し迫って以降、米欧の間には深刻な対立が生じたが、国際社会の戦後イラクへの関与を巡っても未だ米欧は意見の一致を見ていない。状況が流動的な現状では、一連の事態が今後の国際システムに与える影響を見極めるのは時期尚早かもしれない。「幕開け」か「終わり」か イラク戦争後の国際社会の展望については、二つの見方がある。一つは、アメリカがサダム・フセインの打倒に成功したことをもって、「新たなアメリカの世紀」の幕が開いたという捉え方だ。アメリカは、他国に比類なき軍事展開能力を見せつけた。国連安保理の決議が得られなかったことなどお構いなし。ワシントンは自らが正しいと判断した時には、いつでも単独行動に踏み切ることを世界に知らしめた。ブッシュ政権下のアメリカは、「現代のローマ帝国」にも見えてくる。 この観点に立てば、他国が学ぶべき教訓は明らかだ。フランス、ドイツ、ロシアなどアメリカに反対した国々は、まだアメリカの邪魔をするつもりなら、よくよく考えてみるがよい。「ならず者国家」たちも、自らの流儀を見直した方が賢明だ。それがいやなら、「最悪の事態」に備えておけよ……。

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